人工芝のメリットは美しい芝生と雑草の抑制ですが、デメリットとして熱に弱いという面があります。
人工芝は熱に弱いので、火気の取り扱いには十分注意しなくてはなりません。
どういった面で注意しなくてはいけないのか、火災の恐れはあるのか、解説していきますので参考にしてみてください。
人工芝が火気厳禁の理由は素材にあります。
人工芝の芝(パイル)部分の素材はポリエチレンやポリプロピレンといった樹脂です。
樹脂とは簡単に言えばプラスチックです。
プラスチックに熱を加えるとドロリと溶けてしまいます。
人工芝も同じで、熱を加えると溶けてしまうのです。
ですから、人工芝の上でバーベキューをしたり、花火をしたり、たばこの灰を落としてしまったりすると芝生を傷めてしまう原因になるので、取り扱いに注意しなければなりません。
しかし、熱に弱いと言っても高温に弱いだけで、夏の暑さで溶けてしまうということはありません。
ポリエチレンの耐熱温度は110℃、ポリプロピレンは140℃なので、普通に炎天下の中で使う分には問題無しです。
プラスチックが燃えると、ドロリと溶けてフチが黒くなる現象が起きますが、人工芝もほぼ同じです。
溶けた部分の葉っぱが無くなり、場合によっては芝が埋め込まれている基布という部分が見えてしまうなど、見栄えが悪くなります。
ただし、それ以上燃え広がるということはありません。
なぜなら人工芝は「難燃性樹脂」という燃えにくい素材から出来ているからです。
人工芝は「難燃性樹脂」という燃えにくい素材からできています。
「難燃性樹脂」とは、樹脂に特殊な薬剤を混ぜることで、燃えにくくする工夫がされている樹脂のことで、火が移っても燃え広がらず、自己消火能力があります。
ほとんどの人工芝が難燃性樹脂を使用して作られているので、火災を恐れずに庭に敷くことができるのです。
しかし、ホームセンターで購入できるような格安の人工芝の中には、難燃性樹脂を使用していない商品もあるようです。
もし心配ならば、購入するときに良く説明文を読んだり、メーカーに問い合わせたりして安全性を確かめましょう。
元々燃えにくい素材でできている人工芝ですが、中には「防炎認定」されている商品もあります。
防炎認定とは「防炎製品認定委員会」が定めた防炎性能基準等に基づき、防炎協会が認定したものです。
例えば、防災頭巾など災害時に使用するものから、布団、カーテン、カーペットなど、日常で使うものも認定を受けています。
人工芝が防災認定を受ける理由は、屋内で使用する場合にあります。
最近では室内にカーペットの代わりに敷いたり、お店の装飾に使ったりする方が増えてきています。
もし火災が起こってしまった場合、室内で使用しているカーテンや布団は防炎認定を受けているのに、人工芝だけが認定を受けていないものだった場合、人工芝から火災が広がってしまうことがあります。
燃えにくい素材だったとしても、防炎認定を受けていなければどれくらい燃えにくいのか分かりません。
ですから、屋内で使用しても安全だということを証明するために、防炎認定を受けた人工芝が存在しているのです。
たとえ燃えにくい素材だといっても、「不燃」ではないので、まったく燃えないというわけではありません。
そのため、人工芝の上でバーベキューをしたり花火をしたりすることは、人工芝が燃えてしまうので、芝を傷める原因になってしまいます。
人工芝の上でバーベキュー・花火など火気を扱うことは絶対にやめましょう。
芝生のある庭でバーベキューをしたい、という気持ちもわかります。
しかし、人工芝の上でバーベキューをするのは専門家としてはNGです。
せっかくコストをかけて敷いた人工芝を汚したリ傷めたりしてしまう原因になるので、人工芝の上で火を使うことはやめましょう。
どうしてもバーベキューをしたい場合は、人工芝を敷く前に、バーベキューコンロやテーブルを置く場所にタイルを敷いたり、コンクリートにしてしまうのがおすすめです。
芝の上で火を扱わなければOKなので、このタイプなら花火をすることも可能です。
デザイン性高いお庭にすることができるので、事前にイメージを思い描いて業者に依頼すると良いでしょう。
また、どうしても人工芝の上でバーベキューをしなければならない場合には、炭火を使わないガスコンロを使ったり、耐火マットや防火シートを敷いたりするのがおすすめです。
念のため、コンロは直接地面に置かず、地面から離れている長足タイプのものを使用しましょう。
バーベキューが終わった後の後片づけも大切です。
食材や調味料が落ちて汚れが残っていると不衛生ですし、虫を引き付けてしまう原因になります。
また、汚れをそのままにしていると、頑固な汚れになって落ちなくなってしまうこともあります。
まずはホウキや掃除機などでゴミを取り除き、水でしっかり洗い流しましょう。
落ちない油汚れは中性洗剤を使って落としましょう。
汚れが少しであれば布巾で拭く程度でも構いません。
収斂(しゅうれん)現象とは、太陽光がレンズや鏡により反射・屈折し1点に集まることです。
虫メガネで黒い紙を燃やす実験をおこなった方も多いのではないでしょうか。
鏡の反射で火災が起こった例もあります。
人工芝も同様に、収斂現象で高熱にさらされると火災にまではならないにしても、溶けてしまう恐れがあります。
溶けた人工芝は元に戻すことはできません。
よって、ペットボトルや透明のガラス容器などは、人工芝の上に放置しないようにしましょう。
また、窓の反射で人工芝が変色してしまう例もあります。
窓の反射した光が人工芝に当たりそうな場合、サンシェードを使用すると光が当たらなくて良いですよ。
人工芝は熱をもちやすい特徴があります。
夏場は人工芝自体が溶けてしまうということはありませんが、かなり高温になるので、素足で人工芝の上に上がると火傷をしてしまいます。
夏場はまず打ち水をして人工芝の温度を下げることをおすすめします。
人工芝の上で過ごさなくても、熱気が上がってくるので、なるべく打ち水をした方が良さそうです。
人工芝が火気厳禁な理由と、火災になりにくい理由を解説してきました。
人工芝は燃えにくい素材で出来ていますが、あくまで燃えにくいだけで不燃ではないので、人工芝の上でバーベキューをしたり花火をしたりするのは厳禁です。
また、火災の際は燃え広がりにくいですが、屋内で使用する場合、より安全性を高めるならば「防炎認定」を受けた商品を使用すると良いでしょう。
しかし「防炎認定」を受けた人工芝は高価になりやすいため、屋外で使用するならば、難燃性樹脂を使用している人工芝なら認定が無くても問題はありません。
設置する場所に応じて人工芝選びをしましょう。