天然芝と人工芝では、なんとなく天然芝の方が良い気がする人の方が多いのではないでしょうか。
「手入れがあまり必要ない」
「景観が良い」
といったメリットがある一方、人工的に作られたものは健康面で問題があるのではないか、と心配される方もいると思います。
そこで今回は、人工芝にアレルギーや健康上のリスクがあるのかどうか、ご説明していきます。
人工芝でアレルギー症状が出るのか、、
結論から言えば、答えは「NO」です。
まず、人工芝の表面の芝部分はポリエチレンなどのプラスチックです。
プラスチックは日常のあらゆるものに使われています(例えば、ペットボトルや歯ブラシ、プラスチック製のコップなど、、、)
こういった口に付けるプラスチック製品でアレルギーが出ないように、人工芝でも基本的にアレルギーの症状は出ることは考えられません。
しかし、天然ゴムで起きるラテックスアレルギーの場合は少々注意が必要です。
人工芝の表面はプラスチックですが、裏面や充填剤(ゴムチップ)には天然ゴム素材が使われています。
天然ゴムは輪ゴムやゴム手袋、絆創膏などに使用されており、これらの製品に触れて咳やぜんそくが出たり、アナフィラキシーショックを起こしたりした場合、ラテックスアレルギーの可能性が高いです。
症状が起きたことがある方や心配な方は、病院で調べることができるので事前に調べておきましょう。
とはいえ、人工芝のゴム部分は裏面ですから普通に使っていて触れることはありませんし、充填剤としてゴムチップを使用するのはグラウンドやフットサルコートなどスポーツ用の場合です。
家庭用の充填剤は珪砂という砂を使用するので、家庭の人工芝でアレルギーの症状が出る可能性はかなり低いでしょう。
すなわち、ラテックスアレルギーが無い限りは安心して使用できます。
「人工芝には発がん性物質が使われている」という噂を耳にしたことはありませんか。
この噂は実際に2014年にアメリカで報道されたニュースがもとになっています。
サッカー選手、特にゴールキーパーが続々がんを発症し、調査を進めると人工芝に使用されているゴムチップから発がん性物質が見つかったというのです。
その後、2017年に国立医薬品食品衛生研究所は人工芝グラウンド用ゴムチップの成分分析と研究を行い、次のような調査結果を発表しています。
本研究で分析対象とした物質のうち、ヒトで血液系のがんを誘発する十分な証拠がある物質にはベンゼンがあります。今回の調査により、ベンゼンについては定量下限値未満であることが明らかになりました。
また、現時点においては、海外のゴムチップに対する評価は概ね健康リスクが無視できるとしているほか、本研究で調べた範囲では、諸外国及び本邦においてこれまで、人工芝グラウンド上で競技する人や作業する人にゴムチップに起因する健康被害が生じたという学術報告は確認されていません。
まとめると次のことがわかります。
・ゴムチップに含まれる発がん性物質(ベンゼン)は定量下限値未満であった
・現時点、海外でもゴムチップの健康リスクは無視できると評価されている
・海外や日本でゴムチップが原因で健康に被害が生じたという学術報告はない
研究の結果、ゴムチップに発がん性はないことは証明されています。
さらにラテックスアレルギーの項でも説明したように、充填剤であるゴムチップはスポーツ用です。
家庭では珪砂を使用するのでゴムチップのことを心配しなくても大丈夫です。
小さなお子様やペットがいる家庭では芝の上で遊ばせたいと考える方がほとんどでしょう。
素足で上ってチクチクしないか心配かと思いますが、人工芝は手触りも重視して作られています。
手触りは主に芝の形で決まります。
例えば、V型は強度が高いですが、手触りは少しチクチクしている一方、I型はふわふわして手触りが良いですがすぐに芝がへたってしまうのです。
強度と手触りの両方を重視するならU型やC型がおすすめ。
さらに芝高は長いほどふわふわしてクッション性が高くなります。
転んだ時の衝撃を吸収してくれるので、コンクリートむき出しにしているより人工芝にした方が安全性は高いでしょう。
人工芝は敷物ですが、ずっと外に敷きっぱなしになりますから、衛生面で気になる方はこまめに掃除することをおすすめします。
人工芝の掃除の仕方は掃除機やホウキでゴミを取り除きます。
使っているうちに芝が抜けたり、細かいゴミが芝の間に入ったりしてしまうので、お子様やペットが口に入れてしまわないように取り除きましょう。
もし食べ物や飲み物をこぼしてしまった場合や汚れがこびりついてしまった場合には、濡らした雑巾で拭いたり、水で洗い流したりしましょう。
しつこい汚れは中性洗剤を使えばOKですが、熱に弱いのでお湯は使用しないでくださいね!
人工芝の手入れについては、「プロが解説!人工芝の普段の手入れや掃除の方法について」の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひ併せてお読みになってみてください(^^)
強いていえば、人工芝によるやけどには少々気をつけたほうが良いかもしれません。
天然芝ように表面から水分を蒸発させて温度を下げることができず、熱を吸収してしまうので真夏には70℃近くになることがあります。
芝生感覚で素足のまま上がってしまうと危険ですので、水を撒いたりして温度を下げるようにしてください。
また、体育館の床などと同じように、激しく動いてこすったりしても火傷してしまいますから気をつけましょう。。。
人工芝の上で遊ぶときは擦ったりしないよう気を付けてください。
人工芝のアレルギーや健康上のリスクについて説明しました。
人工芝自体にアレルギーはありませんが、ラテックスアレルギーの方は注意する必要があります。
そして、もし人工芝を使っていてアレルギーの症状が出たという場合は、庭の植物や食べ物など、他のアレルゲンがないかも調べてみてくださいね!